卯月ユウトの読書日記

読んだ本を記録する、読書好きの交流の場です。

謎は残ったまま - 「となりのナースエイド」知念実希人 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

2024年最初の一冊は、本日1月10日より日本テレビで放送スタートする川栄李奈さん主演のドラマ『となりのナースエイド』の原作小説です。

著者の知念実希人さんは私が好きな作家の一人でして、今回の作品で12作読んだことになります。代表作である天久鷹央シリーズはまだ読んでいませんが、すでにシリーズで計10冊以上刊行されているので読み始めるのには結構勇気が要りますね……(きちんと購入はしています)

では、そろそろ「となりのナースエイド」の感想に移っていこうと思います!

 

※作品の結末に触れる部分があります。

 

感想

まずタイトルのナースエイドとは、日本の言葉で言うと看護助手。医療行為をせず患者の身の回りの世話などをして寄り添う仕事です。主人公・桜庭澪(さくらばみお)はナースエイドとして、万能細胞・火神(ひがみ)細胞を生み出した火神教授率いる統合外科に勤めることとなります。

天才外科医・竜崎大河(りゅうざきたいが)と衝突しながらも患者に寄り添っていく出だしを読み、以前ドラマ化をされた「祈りのカルテ」のように主人公が困難にぶつかりながらも成長していくストーリーかと思ったのですが、全く違いました。裏表紙の説明文にある通り医療サスペンスでした。

 

この物語の核となるのは、実は澪は外科医でありとあるトラウマから医療行為ができなくなったということです。そのトラウマとは、澪の姉は難治性の癌に侵され、澪が勧めて執刀した手術ののち、生き甲斐であった記者としての仕事ができず命を絶ってしまったというもの。

トラウマを克服するために姉の死の真相を追う澪ですが、そこには火神教授の秘密が大きく関わっているとわかって……というようなあらすじです。

 

率直な感想としては、「とても楽しんで読むことができ良い作品だった」です。ナースエイドという職業について知ることもできました。

第1章「ナースエイドのお仕事」での定森看護主任の言動は非常に目に余りただのパワハラだろと思ったり、澪が脊髄反射かというほどすぐに熱くなりすぎだろと思ったり……etc。物語が姉の死の真相に迫る段階に差し掛かるとそんな感想を持つ余裕もなくなりましたが。

 

新興宗教の教えから娘の手術を拒否する母親など、時事ネタを取り入れたところも面白いなとは思いました。が、正直なところ作品全体的に話を広げ過ぎたのではないかな、と。

スピード感があって読みやすいのですが、反面一つ一つのエピソードが結構淡白に終わっていく印象があり、もう少し詳しく書いてほしい!というシーンも多々ありました。

また、火神教授の研究(オームス)や急速に増殖した癌細胞など、まだまだ残された謎は多いです。

 

最後、澪がナースエイドと外科医の二刀流として働き始めたことが描かれ、一旦は物語の終わりとなっています。しかしながら多くの謎が残されているので、今後これらを回収する続編があるのかな?と期待してしまします。

 

さいごに

ここまで、知念実希人さんの「となりのナースエイド」の感想を書いてきました。

“はじめに”でも書いた通り、いよいよ今日22時にドラマがスタートします。澪と竜崎のこの物語がどう映像化されるのか、私も原作者ファンとしてしっかり見届けようと思います!

皆さんもぜひドラマと合わせて原作も読んでみてください。

それでは、また。