目次
はじめに
皆さんこんにちは、卯月ユウトです。
今回は、町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』の感想を書いていきたいと思います。
本作は2021年の本屋大賞 第1位を獲得、今年の3月1日に杉咲花さんの主演で映画が公開されました。
感想
この本を手に取ったきっかけですが、私の親(おそらく母)が読み終わった本作を本棚で発見し、気になっている作品だったので読んでみたという次第です。
まず、タイトルの『52ヘルツのクジラ』とは、同じクジラの仲間にも聞こえない周波数で歌う、世界で一頭しかいない孤独なクジラのことです。そんなクジラと同じように家族に人生を搾取されてきた孤独な主人公・貴瑚(キナコ)と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年が出会い、共鳴し支え合いながら新たな人生へ踏み出していく物語です。
キナコは少年のことを先述の52ヘルツのクジラになぞらえて「52」と呼ぶようになります。52は、あるトラウマから話すことができなくなり、母親からは酷い虐待を受けていました。キナコは、52とともに彼と次第に心を通わせ、彼を助けるために奔走します。
二人が心を通わせるシーンは胸にジーンとくるものがありました。
キナコが52を助けようと必死になるのは、彼女の壮絶な過去に理由があります。
キナコの過去の辛く孤独な日々、そこから救ってくれた恩人・アンさんとの出会いとアンさんの抱える秘密……。詳しく書くと重大なネタバレになってしまうのでどうやって書けばいいのか難しいですが、キナコの過去のどのエピソードも非常に切実で苦しくて、考えさせられるものでした。作品を読めば、キナコが52を救いたいと思うわけをきっと理解していただけるかと思います。
実際の社会でも、誰にも届かない声をあげている人々がたくさんいることでしょう。きなこにとってのアンさん、52にとってのキナコのように、その『52ヘルツの声』を聞いて受け止めてくれる人が現れれば良いなと思います。
そして、そんな人間に私もなっていきたいなと思いました。
さいごに
ここまで、町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』の感想を書いてきました。
虐待など様々な社会的な問題・課題を扱った良作でした。全体になかなか重めのテーマ・内容なのですが、親しみやすい文体で非常に親読みやすく入り込めるので、ぜひ沢山の方に読んでいただき、考えるきっかけとなれば良いなと思います。
それでは、また。