卯月ユウトの読書日記

読んだ本を記録する、読書好きの交流の場です。

ようこそ「卯月ユウトの読書日記」へ!

 

 

こちらは私が読んだ本について記録し、感想を書いていくブログとなっております。

私としては多くのご覧いただき、オススメの本を紹介しあったり感想を共有したりできる読書好きの交流の場としていければと思っておりますので、皆様ぜひ気軽にコメントをお寄せください!

※「この本について書いてほしい」というようなリクエストは受け付けておりませんが、もし未読の場合 本選びの参考にはさせていただきます

 

目次

 

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タイトルはブラフではない -「2028年 街から書店が消える日 〜本屋再生!識者30人からのメッセージ〜」小島俊一 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回取り上げる本は、小島俊一さんの『2028年 街から書店が消える日 〜本屋再生!識者30人からのメッセージ〜』です。

地元の書店で棚を眺めていたところ、吸い寄せられるように手に取った本です。読書好き、書店好きとして読まないわけにはいかないと本能的に感じたのわけです。

 

感想

なぜ書店が消えていっているのか、出版業界の28人の識者がそれぞれの立場から書店について語ったインタビューを掲載した一冊。『2028年 街から書店が消える日』というタイトルはかなりセンセーショナルに感じられますが、第一話で書かれている数字、

  • 紙の出版物の売り上げはピーク時の半分
  • 書店の数はピーク時の2万5000店から半分以下の1万1000店
  • 全国の26%地方自治体に書店がない

からわかるように、ブラフではなく何もしなければ訪れてしまう未来を示しているに過ぎないのです。

 

近年テレビなどのニュースで書店閉店が取り上げられると、必ずと言って良いほど『活字離れ』という言葉が出てきます。私はそれに対して疑問を持っていて。

学生は朝の読書で本に触れているではないですか、SNSには読書好きの大きなコミュニティがあるではないですか。私は常々、書店の閉店は活字離れが原因とは言えないのではないかと思っていたのです。

 

本書では再版制度や返品制度といったかつて書店を守ってきた制度が疲弊を起こし、出版業界が『構造倒産業種』になっていると指摘しています。

他にも、取次での一斉配本によって書店には売れる本など画一的な入荷しかせず読者が欲しいと思う本が置いていなかったり、注文してもなかなか入荷しなかったり……。そんな状態では、なるほどいくら先に書いたような読書好きがいたとしてもリアル書店を選ばなくなるよね、と。

 

成功している独立系書店などへの取材から、書店が生き残っていくにはどうすれば良いのかいくつもの提言がなされています。その内容がとても重要であることはもちろんなのですが、私が本書を読んでいて強く感じたのは、著者の小島さんは本書をきっかけとして業界内外問わず本屋再生のための忖度のない議論を活発にしていきたいのだということです。

小島さんが本書に関するSNSやブログ、口コミなども積極的に読まれている(私のXでの読了投稿にもリアクションしてくださりました)ことにも表れていると思います。

 

小島さんの提言の内容についてはとても私の筆力ではまとめられそうにありません(申し訳ない)。 気になる方はXなどのSNSでわかりやすくまとめてくださっている方がいらっしゃったので調べてみてください。そして、ぜひ本書を読んでみて欲しいなと思います。

 

ちなみに、本書では識者へのインタビューの間には著者と架空の甥との対談の文章が差し込まれています。この対談形式はベストセラー本『嫌われる勇気』君たちはどう生きるかへのオマージュだそうです。

それにより読みやすくなってはいるのですが、一方で結果として識者一人あたりに割かれるページが少なくなっていると感じられるのは残念なところです。一人当たり約1時間の取材を行なっているそうなので、もっと詳しく書けるのではないかと。ぜひ、本書に登場した識者の方々の個別の詳しい内容を読んでみたいです。

 

 

さいごに

ここまで、小島俊一さんの『2028年 街から書店が消える日』の感想を書いてきました。

書店が立たされている現状について、わかりやすく書かれた一冊でした。読書好きの端くれとして、出版業界や読者による活発な議論行われ書店が存続することを願うばかりです。一般読者としてできることは少ないとは思いますが、本書に収められているような厳しい現状があることを繰り返し発信し、地元の書店にできる限り足を運ぶようにしていきたいです。

この下にAmazon楽天のページを載せますが、この記事を読んでくださった皆さんにはぜひ(可能であれば)実際に足を運び、書店で手に取っていただきたいなと思います。

それでは、また。

青春のすべて -「恋とそれとあと全部」住野よる 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回取り上げる作品は、住野よるさんの『恋とそれとあと全部』です。

感想

めえめえとサブレという不思議なあだ名で呼び合う高校生の男女二人の、サブレの叔父の自殺の真相を探るための4日間のプチ旅行を描いた物語です。正直、「なんて不謹慎な目的なのだ!」と感じたのですが、死について知りたくなったり恐怖を強く感じたりするのは彼らの年代ならではなのかなとも思いました。

作中で登場したタナトフォビア(死恐怖症)という言葉も印象に残り気になっているので、関連する書籍も読んでみたいです。

サブレは自分の話したことを後から「あの言葉はまずかったかな」と考えて訂正するくらい気にしすぎる人で、めえめえはそんな彼女の特性を“めんどくさい”ではなく“真剣”と捉えており、そういう考え方を私は良いなと感じました。

 

と、ここまでタイトルの「それとあと全部」の部分についてしか感想を書いていませんね……。ちなみに恋の部分は皆さん予想はついているでしょうが、めえめえとサブレの恋です。

今この瞬間、好きな子がいる。

という一文で始まる物語にも関わらず、“自殺の真相を探る”というおおよそ恋愛小説とは思えないストーリーで、二人の恋については最後まで焦らされること焦らされること。しかし、読後にはこの展開でないとダメだと、すっきりしました。皆さんにもぜひ読んで確かめてほしいです。

 

独特なテンポのセリフや地の文の言い回しは読んでいてなんだか楽しく、私はやっぱり住野さんの作品が好きなんだなと感じました(以前このブログでも感想を書いた『腹を割ったら血が出るだけさ』は合わなかったけれど……汗)。

最初こそ違和感を覚えていた二人のあだ名も読み終わる頃にはすっかり馴染み、「めえめえはめえめえだし、サブレはサブレだ!」という感じに見事、住野ワールドへ吸い込まれていました笑

 

住野さんの作品はもう一作積読しているので(告白撃)、近いうちに読んでみようと思います。

 

さいごに

ここまで、住野よるさんの『恋とそれとあと全部』の感想を書いてきました。

タイトルの通り「高校生=青春」の“恋とそれとあと全部”を詰め込んだ作品で、学生や私と同じ20代前半くらいの世代の人だとより共感できるのかなと感じました。

それでは、また。

10代の繊細な心を切り取った一冊 -「弁当男子の白石くん」月森乙 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回取り上げるのは第6回文芸社文庫NEO小説大賞・大賞受賞作の月森乙さんの『弁当男子の白石くん』です。

感想

この作品を手に取ったきっかけは出版元の文芸社SNS。新刊紹介で掲載されていた画像に映るポップな雰囲気の表紙に惹かれて思わず購入しました。

クラスの一軍女子・南雲古都は、ひょんなことから地味系男子・白石くんに弁当を作ってもらうことになります。交流を深めていくうち本当の白石くんを知り……という王道の青春小説です。

 

クラス内での目立つ子(宮内や池田)と地味な子(白石くん)との会話が非常にリアルで、私も高校時代を思い出しながら「ああ、こういう感じあったよなあ」と何だか懐かしい気持ちになりました。交友関係の悩みや家族との不和など、学生の頃の独特な不安定な繊細な心が具に描かれていました。

なかなかに重い内容も描かれているのですが、非常に軽快で読みやすい文章で、考えさせられつつもすんなりと読むことができました。

 

古都と白石くんの二人の会話は、とても初々しくて眩しかったです。手が触れ合うだけで赤面して、狼狽える二人の描写は読んでいるこちらが赤面しそうになりました笑

 

それにしても、古都の父親が(言い方悪いですけど)クソすぎて……。読んでいてイラッとするほどでした。父の立場の描写があると印象が違ったかもしれませんが、、、

 

 

さいごに

ここまで、月森乙さんの『弁当男子の白石くん』の感想を書いてきました。

現役の学生だけでなく、日頃弁当を作ってもらっている人など、いろいろな人におすすめしたい一冊でした。

それでは、また。

事実と真実は違う -「流浪の月」凪良ゆう 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回は、2020年の本屋大賞受賞作で2022年に広瀬すずさん、松坂桃李さん主演で映画化された凪良ゆうさんの代表作『流浪の月』の感想を書いていきたいと思います。

youtu.be

 

感想

この小説のテーマは『事実と真実は違う』ということです。物語はファミレスでの第三者視点から始まり、章によって語り手が変わっていく(=視点が変わる)ことでそれを描いています。

題材になっているのは、当時19歳の青年・文(ふみ)が小学四年生の更紗を家に連れ帰った誘拐事件です。世間の人々からすれば更紗は被害者で、文は加害者。更紗に対して周りの人々は優しさを向けるのですが、更紗の視点の章を読み進めていくとその優しさが彼女を苦しめていることに気づきます。

 

それに気づいた後からは、更紗の周りの人たちの気遣いに読み手である私も「何もわかってないくせに」と思ってしまいました。

しかし、私の実生活の中でもそういうことはあったのではないだろうか?良かれと思って他人に普通を押し付けてはいないだろうか、それが誰かを傷つける刃となってはいないだろうかと自分のこれまでを顧みさせられました。

 

とはいえ……。更紗に対しては「なぜここで反論しない?」と苛立ちを覚えるシーンも多々。「そうじゃないんだ!」と真実を打ち明けていれば、更紗も文もそして周りの人々ももっと苦しまずに過ごせたんじゃないか、と。でもそれは実際には難しいのだろうな、明かされたとしても信じられないんだろうな、とも思う。そういう人々の感情や世論のリアルを描いているのも、この作品の良いところだと感じました。

二人の真実を理解している梨花という存在に少し救われた気持ちにもなりました。

 

それにしても、更紗の恋人の亮くんについては過剰に描きすぎではないだろうか……。DVのリアルってこういう感じなのだろうか……。

 

更紗と文がこのあとどう過ごしていったのか、続編で読んでみたいなという気持ちもあります……。凪良さん、ぜひ書いてください!

 

 

さいごに

ここまで、凪良ゆうさんの『流浪の月』の感想を書いてきました。

一つの出来事についてさまざまな視点で重層的に描いた読み応えのある作品でした。映画もぜひ観てみたいなと思います。

それでは、また。

読書のきっかけを与える一冊 - 「けんごの小説紹介 読書の沼に引きずり込む88冊」けんご 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回紹介する本は、TikTokなどのSNSで小説紹介クリエイターとして活動されているけんごさんの『けんごの小説紹介 読書の沼に引きずり込む88冊』です。

 

感想

この本では、大きく

  1. 胸が締め付けられる物語
  2. 背筋が凍る物語
  3. 言葉を失う物語
  4. 脳裏に焼きつく物語
  5. 魂が揺さぶられる物語

という5つのテーマに分けて、新旧やジャンル問わず多種多様な88冊もの小説が紹介されています。

私は自分で本を選ぶと、どうしても恋愛小説や「切ない物語・泣ける物語」と謳われている作品に偏りがちになります。特にホラーやサスペンスといったジャンルに分類される作品は読んでこなかったと思います(苦手意識があり本能的に避けてきたのでしょう)。

ですが、けんごさんの小説紹介の文を読むと、そういったジャンルの本も「読んでみたいな」と自然に思ってしまうのです。そう思わせるけんごさんの言葉選びに脱帽です。

 

章の最後に差し込まれているコラムも非常に良いなと感じました。特に、2章の後の『「毒書家」にはなりたくない』というコラム。けんごさんが小説を紹介する上で大切にしていることを書かれて、(烏滸がましいですが)私のスタンスとも近しいもの感じ共感できました。

私はこのブログで本のレビューをする際、『作品を否定しない』ことを心がけています。何冊、何十冊と読んでいれば自分に合わない作品とも出会うのですが、だからといってその作品を貶したりその作品を読もうとする人を止めるようなことを書いたりしてはいけないと思うのです(その人にとってすごく気に入る作品かもしれませんし)。

↑できていなかったらすみません

 

非常に貴重な東野圭吾さんへのメールインタビューや凪良ゆうさんとの対談も読むことができ、満足です。

この本を読んだことでまた読書に対する熱が上がってきたように感じます。

 

 

さいごに

ここまで、けんごさんの『けんごの小説紹介 読書の沼に引きずり込む88冊』の感想を書いてきました。

読書を始めてみようかなという方や、次に読む小説を探している読書家の方などにはとても参考になる一冊だと思います。

それでは、また。

独特な世界観のショートショート -「余命3000文字」村崎羯諦 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回は、村崎羯諦(むらさきぎゃてい)さんの『余命3000文字』の感想を書いていきたいと思います。

感想

この作品は、小説投稿サイト・小説家になろうから生まれた短編集です。一篇が数ページから十数ページで書かれているので、いわゆるショートショート星新一さんが有名)に分類されるのかなと思います。

5分で読めて、あっと驚き、わっと泣ける。

という触れ込みでかなり人気を集め売れた作品なのですが、正直私はなかなか入り込むことができず……。「面白そうな設定だな」「どんなオチなんだろう」と期待しながら読んでいくと、「あ、もう終わりなのか」という感じでいつの間にか完結していた!というものが多い印象でした。

設定に驚かされることはあれど、泣くことはなかったですね……。帯や謳い文句についてはちょっと言い過ぎなのかな、と。

 

中盤から終盤にかけては好みの話、面白いと感じる話も増えてきて楽しんで読むことができました。ただ、例えば推理小説を読む時のように伏線を読み解き考えながら読むというのではなく、単純に設定の面白さを楽しむといった感じです。

本書に収録されている「何だかんだ銀座」が『世にも奇妙な物語』で映像化されたそうですが、なんとなく「なるほどなぁ」と思います。

ある程度読書慣れしている人にとっては物足りないかもしれません。

 

個人的に好きだったのは、

  • 心の洗濯屋さん
  • 向日葵が聴こえる
  • 不倫と花火
  • 死人のお世話

の5篇です。設定がぶっ飛んでいるお話が多い中で、比較的人間の温かさのようなものを感じたり現実味もあったりするお話です。

 

きっと読む人によって好きだと感じるお話はかなり違ってくると思います。もしこのブログを読んでいる方でこの本を読んだことがある方は、コメント欄でどのお話が好きだったか教えてください。

 

 

さいごに

ここまで、村崎羯諦さんの『余命3000文字』の感想を書いてきました。

こういう作品が好きな人もいるでしょうが、私にとっては「すごく面白い!」「この本が好き!」という感じではありませんでした……。何冊も読んでいれば“それほど好みではない作品”とも出会うでしょうし、それもまた読書の面白いところだとも思います。

文章自体は読みやすく一篇ごとがかなり短いので、学生の読書の時間や通勤通学の際に読むには良い作品かもしれませんね。

それでは、また。

王道青春ストーリー -「横浜青葉高校演劇部 コント師になる⁉︎」田中ヒロマサ 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回取り上げる作品は、第4回文芸社文庫NEO小説大賞で最終選考作品となった、田中ヒロマサさんの『横浜青葉高校演劇部 コント師になる⁉︎』です。私は高校では演劇部に所属しており、この本が発売された際なんとなく気になって購入して積読していたのを読んでみました。

それでは、感想に移っていきたいと思います。

 

感想

中学演劇の全国大会を制した経験のある高校生4人が、再び力を合わせてコントの賞レース・エンペラーオブコント(←元ネタはキングオブコントだろう)に参加し奮闘する物語です。

乗り気でない師匠を口説き、いかにもなライバルが登場し、時には仲間とも衝突をして……。この記事のタイトルにもしましたが、いわゆる王道の青春小説のストーリーを踏んでいます。

 

この本で良いなと思う点は、それぞれの登場人物のキャラの強さと文章のスピード感。メインとなる4人は帯から引用すると、

  • 廊下を歩くだけで女子の歓声が上がる 海斗
  • 本気で女優を目指し努力を続ける 美月
  • 小学生で脚本の賞をとるほどの才能を持つ
  • 平凡だけど調整能力と行動力がある 風里

といった具合に個性豊か。主人公・風里に関しては平凡となっているけれど、他の3人を引っ張ることができることを考えるとかなりすごい人だよなと思います。

4人の師匠となる竹村先生をはじめ、そのほかに登場する人たちも皆個性豊か。しかし、その個性が潰されることなく上手く組み合わさり、物語が進んでいく上で良いエッセンスとなっていました。

文章にしてみても、コントあるいは漫才のツッコミのようにスパッと切れ味の良い部分が多い印象でした。

これらが物語の面白さに繋がり、ページを捲る手が止まりませんでした。

 

気になる点としてはかなり唐突に物語が終わったこと。

エンペラーオブコントへの挑戦を経て、横浜青葉高校演劇部の状況はどうなったのだろうか? 4人はどういう道に進んだのか? などその後が知りたいです(続編求む!)。

 

この本全体を通して、一つのことに全力を注ぐ姿に「やっぱ青春っていいよな!」とどこぞのおじさんのような感想を抱きました……。

また、舞台に関する専門用語も少しずつ登場し、演劇部出身の私は懐かしさも覚えました。ああ、もう一度演劇もしてみたいなあ。

 

 

さいごに

ここまで、田中ヒロマサさんの『横浜青葉高校演劇部 コント師になる⁉︎』の感想を書いてきました。

全体的に読みやすい文章で、テンポよく読み進めることができます。青春真っ只中にいる学生の方にも、青春に思いを馳せたい大人の方にもお勧めできる一冊だと感じました。

それでは、また。

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