目次
はじめに
皆さんこんにちは、卯月ユウトです。
今回取り上げる作品は、第4回文芸社文庫NEO小説大賞で最終選考作品となった、田中ヒロマサさんの『横浜青葉高校演劇部 コント師になる⁉︎』です。私は高校では演劇部に所属しており、この本が発売された際なんとなく気になって購入して積読していたのを読んでみました。
それでは、感想に移っていきたいと思います。
感想
中学演劇の全国大会を制した経験のある高校生4人が、再び力を合わせてコントの賞レース・エンペラーオブコント(←元ネタはキングオブコントだろう)に参加し奮闘する物語です。
乗り気でない師匠を口説き、いかにもなライバルが登場し、時には仲間とも衝突をして……。この記事のタイトルにもしましたが、いわゆる王道の青春小説のストーリーを踏んでいます。
この本で良いなと思う点は、それぞれの登場人物のキャラの強さと文章のスピード感。メインとなる4人は帯から引用すると、
- 廊下を歩くだけで女子の歓声が上がる 海斗
- 本気で女優を目指し努力を続ける 美月
- 小学生で脚本の賞をとるほどの才能を持つ 杏
- 平凡だけど調整能力と行動力がある 風里
といった具合に個性豊か。主人公・風里に関しては平凡となっているけれど、他の3人を引っ張ることができることを考えるとかなりすごい人だよなと思います。
4人の師匠となる竹村先生をはじめ、そのほかに登場する人たちも皆個性豊か。しかし、その個性が潰されることなく上手く組み合わさり、物語が進んでいく上で良いエッセンスとなっていました。
文章にしてみても、コントあるいは漫才のツッコミのようにスパッと切れ味の良い部分が多い印象でした。
これらが物語の面白さに繋がり、ページを捲る手が止まりませんでした。
気になる点としてはかなり唐突に物語が終わったこと。
エンペラーオブコントへの挑戦を経て、横浜青葉高校演劇部の状況はどうなったのだろうか? 4人はどういう道に進んだのか? などその後が知りたいです(続編求む!)。
この本全体を通して、一つのことに全力を注ぐ姿に「やっぱ青春っていいよな!」とどこぞのおじさんのような感想を抱きました……。
また、舞台に関する専門用語も少しずつ登場し、演劇部出身の私は懐かしさも覚えました。ああ、もう一度演劇もしてみたいなあ。
さいごに
ここまで、田中ヒロマサさんの『横浜青葉高校演劇部 コント師になる⁉︎』の感想を書いてきました。
全体的に読みやすい文章で、テンポよく読み進めることができます。青春真っ只中にいる学生の方にも、青春に思いを馳せたい大人の方にもお勧めできる一冊だと感じました。
それでは、また。
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