目次
はじめに
皆さんこんにちは、卯月ユウトです。
今回取り上げる作品は、第39回「坪田譲治文学賞」と2024年「本屋大賞」の受賞作、宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』です。
大人気作品にもかかわらずまだ読んでいなかったのですが、家族が図書館で借りてきていたので読んでみました。
感想
という六篇(特記以外は書き下ろし)が収録された連作短編集です。全部合わせて200ページと短めな印象です。家族も一気読みしていましたが、私もすぐに読了しました。
滋賀県の大津(膳所)を舞台にしており、全体的に地域密着小説という感じがしました。地元の人ならもっと共感したり懐かしんだりできるのだろうか?←私は愛知県民なのでそれほど……
とにかく成瀬のキャラクターが面白いですね。「この夏を西武に捧げようと思う」「お笑いの頂点を目指そうと思う」などなど、突然にとんでもないことを言い出すのです。
周りはまた変なことを言っているというような反応なのですが、我が道を行くという感じで成瀬はコツコツと打ち込みます。それでも、目標を達成することもあれば、達成できないこともあるわけです。
たくさん種をまいて、ひとつでも花が咲けばいい。花が咲かなかったとしても、挑戦した経験はすべて肥やしになる。
(『成瀬は天下を取りにいく』187ページより)
“とりあえず行動してみる”を体現している成瀬を見ている(読んでいる)と、どこかで聞いたことのある気のするこの言葉もすごく説得力が出てきます。できない言い訳を考えて「それならやらないほうが良い」と自分の可能性を潰してきたのではないか、と私のこれまでを反省すらしてしまいました。
初めは成瀬のことを「変な人」と思っていましたが、読み終わる頃には「自分もこうなりたい」という憧れのような存在になっていました。(成瀬のように周りを巻き込みすぎるのは控えたいですが)何事にも前向きに挑戦できるようにしたい、という勇気を与えてくれました。
そんな強い成瀬ですが最後の『ときめき江州音頭』では違う一面も見せられて、ああ成瀬も普通の人間なんだなとよくわからない感想を抱きました笑
ぜひまだ読んでいない方にも「成瀬ワールド」を味わってほしいです。
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さいごに
ここまで、宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』の感想を書いてきました。
話題になっていたのも頷ける、サクッと読めて面白い一冊でした。続編の『成瀬は信じた道をいく』も読んでみたいなと思います。
それでは、また。
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