卯月ユウトの読書日記

読んだ本を記録や文学賞のまとめなど。読書好きの交流の場です

映画と小説のそれぞれの良さを感じる作品 -「小説 きみの色」佐野晶 著(原作:「きみの色」製作委員会)

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回は、8月30日に公開された映画『きみの色』のノベライズ版の感想を書いていきたいと思います。

 

感想

人に色を感じる共感覚という特性を持つ高校生のトツ子が、同じ学校の優等生・きみ、偶然出会った島の少年・ルイとバンドを組むという物語です。

高校生のバンドというと王道の青春小説といった感じがしますが、トツ子の通う学校がキリスト系の学校であるという設定によって、普通とは違った学生生活感があって良かったと思います。

 

個人的には、日吉子先生のキャラクターが良いなと思いました。特に、最初の頃は厳しいシスターという感じだったのが、トツ子たちの活動を理解し見守るところ。この物語の重要人物といえるでしょう。

 

文章はというと、序盤の情景描写が少々くどく感じて(似たような描写が繰り返される)入り込むのに若干時間がかかりました。

また、トツ子が共感覚で感じている色は作中何度も記述されているのですが、正直なところ画がないとなかなか想像が難しいと感じました。

(これらは映画のノベライズだということを考えると仕方のないことだと思います)

 

作中、トツ子、きみ、ルイはバンドを組み“しろねこ堂”と名付け、3人はそれぞれオリジナル曲を作っていきます。

どの曲もかなり個性的で、小説の文章で読んでいるだけでも面白そうだなと思いましたが、実際に映画で音源として聴くとその面白さ・個性を存分に味わうことができました。“しろねこ堂”のオリジナル曲は、映画のサウンドトラックに収録されておりYouTube上でも聴くことができます。

youtu.be

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このようなオリジナル曲をバンドで演奏するという設定も、画や音を組み合わせて作られる映画というコンテンツならではのものなのだろうと感じました。

 

 

さいごに

ここまで『小説 きみの色』の感想を書いてきました。

映画では3人の一人一人の掘り下げが小説と比べ少ない印象を受けました。映画を観て物足りなさや疑問を覚えた方は、こちらのノベライズ版を読んでみるのも良いかもしれませんね。映画は映画の、小説は小説の良さがきちんとある作品だと思います。

それでは、また。