卯月ユウトの読書日記

読んだ本を記録する、読書好きの交流の場です。

誰かの支えになること - 「今夜、世界からこの恋が消えても」一条岬 著

目次

はじめに

皆さんこんにちは、卯月ユウトです。

今回は、一条岬さんによる青春小説『今夜、世界からこの恋が消えても』について書いていきたいと思います。

この作品は第26回電撃小説大賞で《メディアワークス文庫賞》を受賞した『心は君を描くから』を加筆修正の上 刊行されたものです。累計発行部数は50万部を突破しています。

それでは、感想に移って行きたいと思います。

 

感想

この作品は、高校生の僕(=神谷透)と事故によって前向性健忘を患った日野真織の青春ストーリーです。

前向性健忘というのは記憶障害の一つで、障害が発現した時期が明確でそれ以降の情報の記憶障害が起きるものをいいます(障害発現以前の記憶がなくなるものは逆行性健忘といいます)。

記憶が無くなってしまうことをテーマにした小説や映画は多数あり、有名なところでいうと『50回目のファーストキス』だったり『博士の愛した数式』だったり。私の好きな作家・沖田円さんのヒット作『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』も、記憶が1日しか保たない男の子がメイン人物となっています。というように、よくある設定ではあるわけで、どうやって差別化していくのかというのが重要になってきます。

電撃小説大賞最終選考委員の作家・三上延さんが、

前向性健忘という使い古されたアイディアに最初は悲観しましたが、いい意味で期待を裏切られました。ハイレベルな青春小説です。

 - 本書帯より -

と評しているように、物語終盤で一気に様相が変わりました。後半の物語の運び方が、選考でも評価されたのだろうなと感じました。その辺りは是非読んで味わってください。

 

また、この作品を読んで強く感じたのは、『誰しも他の誰かの支えになっていること』です。

何のために生きているのかわからない、自分は必要じゃないのではないかと感じるという声をネット上などで目にする機会があります。でもきっと、その人の周りにいる人にとっては、その人がそこにいる事で何かが生まれていて、その影響力に当人は気づいていないだけなのでしょう。この物語でも、真織は気付かぬうちに透にとって大切な人になっていたし、その逆もあったのです。

私も、今繋がっている人(学校の友人や先生、親族など)との関係を大事にしたいと思いましたし、しなければならないんだと強く思いました。かけがえのない“今”を精一杯楽しみたいです。

 

さいごに

ということで、今回は一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』の感想を書いてきました。非常に良い青春小説でした。

下記リンクより購入することができます。気になった方はぜひこの記事にスターをつけるとともに、書籍を購入して読んでみてくださいね。

 

また、真織の親友・綿矢泉が主人公の続編『今夜、世界からこの涙が消えても』も発売されています(私も未読なので読んでみようかな……)。

 

なお、なにわ男子の道枝駿佑さんと女優の福本莉子さん主演の実写映画が絶賛公開中です。映像で観てみるというのも良いかもしれませんよ(私は映画も見に行きました)。

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それでは、この辺で。